おすすめ記事

聞こえにくいと感じたら補聴器を

知っておきたい老人性難聴のこと

老人性難聴によるリスク

認知症や転倒のリスク増

認知症や転倒のリスク増

認知症のリスク

難聴は40歳頃から進行していくケースが多いのですが、65歳あたりから急激に増えるというのが近年の調査で明らかになっています。70代ではおよそ半分、80歳以上になると約8割もの人が老人性難聴になっています。実際の生活においては、母音が聞こえる一方で子音が聞こえなくなるため、例えば「佐藤さん」と「加藤さん」の区別が付かなくなるなど、聞き間違いが多発します。しかし、大きい音はよりうるさく感じるようになるため、ドアの開閉音などに驚くことが多くなります。音自体は聞こえても言葉が認識できない、騒音が混ざった環境では言葉が聞き取れないなどの症状もあります。こういったことが重なると、人と会話することや外出することが億劫になり、社会的に孤立していきます。その結果、認知症のリスクが高まります。
また、イギリスの医学誌によると「人々が9つのライフスタイル要因に対処すれば3分の1の認知症を予防できる」とした上で、そのうちの1つに「40~60歳の中年期における難聴を防ぐこと」とあります。なお、それ以外の要因には子ども時代の教育や社会関係の維持などが挙げられています。軽度の難聴であっても認知機能の低下と認知症の長期リスクを増加させる可能性があるという結果が示されており、認知症のリスク要因として難聴が認識されるようになったのは比較的最近なため、より一層の管理が求められると記されています。他にも同誌では、中枢性難聴が原因で補聴器を使用しても状態が改善せず競合音があるケースにおける、音声認識力の低下を引き起こすアルツハイマー病の前駆症状のリスクなども述べられています。なお、前駆症状とは病気が発症する前兆症状のことを指します。

転倒のリスク

難聴になることで転倒のリスクも上昇します。難聴には「伝音性難聴」「感音性難聴」「神経性難聴」「混合性難聴」などがありますが、いずれの難聴でも転倒のリスクが高まります。アメリカで行われた研究報告によると、難聴の人は自分の全体的な環境を上手く認識できないため、つまずいたり転倒したりする可能性が高くなるとされています。事実、軽度の難聴であっても難聴の症状がない人と比べると、転倒した経験が3倍近くあることが判明しています。
高齢者は聴力に限らず身体機能全般が衰えています。聴力の状態には関係なく、すでに転倒のリスクが高い状態なため、一層注意深くケアしなければなりません。また、骨も衰えているので転倒した際に骨折などの大怪我につながる可能性があります。